今回は、こちらの本を選択しています。帚木蓬生氏の「空の色紙」です。本のカバーには以下のように紹介されています。本のカバーには、以下のように紹介されています。
精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。妻との関係を疑い、自分の息子を殺したというその男は、本当に狂気のさなかにあったのだろうか?小野寺は調査を進めながら心の動揺を覚える。実は彼自身も、ある事情のために妻への屈折した嫉妬の感情を抱きつつ生きてきたのだった―。表題作をはじめ、デビュー作「頭蓋に立つ旗」など初期の医学もの中編3編を収録。
さて、こちらの本でも読書中に気になって付箋を貼付した箇所を抜粋してみましょう。
近代医学が進歩した分を、酒と煙草が帳消しにしている。本文、p36。
杉山さんは、心身ともに病気です。(中略) 若い頃の話や、本人が得意がる話に相槌をうってやるのが、一番かもしれません。小野寺の言葉、p94。
何しろ昨今の若い医師は、検査の数字や画像には強いのですが、目に見えない心理的なものになるとお手上げですから。小野寺の言葉、p103。
医師でありながら、あなたは病人を憎んでいる。小野寺の妻の言葉、p119。
自分はこの女を少なくとも不幸にはしなかったのだ。小野寺の言葉、p138。
こちらは、帚木蓬生氏の初期の頃の短編集のようです。短編といっても3編で計300ページですから、読み応えはあります。評論家からの評価はあまり高くはなかったようですが、同じものを見ても作家さんの表現力の凄さは充分に読み取れます。こちらも古本屋さんで発見し、帚木蓬生氏の本であることから購入しています。あまりインタビューには応じない帚木蓬生氏のようですが、TBSから医師へ転身した経緯が記載されている解説の方が、人間味があって面白かったです。
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