書籍・雑誌

2018年8月19日 (日)

世に棲む日日---第2巻

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今回も前回に引き続き司馬遼太郎氏の「世に棲む日日第2巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。

海外渡航を試みるという、大禁を犯した吉田松陰は郷里の萩郊外、松本村に蟄居させられる。そして安政ノ大獄で、死罪に処せられるまでの、わずか三年たらずの間、粗末な小屋の塾で、高杉晋作らを相手に、松陰が細々とまき続けた小さな種は、やがて狂気じみた、すさまじいまでの勤王攘夷運動に成長し、時勢を沸騰させてゆく.
こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。

「事にあせるばかりで十分な準備と工夫をしかなかったためであった」p44。
「実物、実景を見てから事態の真実を見きわめるべきで---」p57。
「わき見をしてくれるなよ。人間は馬とはちがい、自分で自分の手綱をもたねばならぬ」高杉晋作の祖父の言葉、p71。
「もともと教育という公設機関は、少年や青年というものの平均像を基準として、一定の過程を強制することによって、平均的成長を期待しうるものとして設置されている(一部改変)」p78。
「余は人の悪を察すること能わず、ただ人の善のみを知る」松陰の言葉、p156。
「中庸的人物こそ偉大である」高杉晋作の父の言葉、p198。
こちらの本にも、色々と心に響く言葉が散らばっています。

 

2018年8月12日 (日)

世に棲む日々---第1巻

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今回は、こちらの本を選択しています。司馬遼太郎氏の「世に棲む日日第1巻」です。同氏の「花神」を読書した後、そういえば当方は吉田松陰に関しては、あまり知識がないことに気づき、こちらの本を選択しました。本の帯には以下のように紹介されています。

時は幕末。嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。

長州萩・松本村の下級武士の子として生まれた吉田松陰は、浦賀に来航した米国軍艦で密航を企て罪人に。生死を越えた透明な境地の中で、自らの尊王攘夷思想を純化させていく。その思想は、彼が開いた私塾・松下村塾に通う一人の男へと引き継がれていく。松陰の思想を電光石火の行動へと昇華させた男の名は、高杉晋作。身分制度を超えた新しい軍隊・奇兵隊を組織。長州藩を狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動に駆り立てていくのだった……
骨肉の抗争をへて、倒幕へと暴走した長州藩の原点に立つ吉田松陰と弟子高杉晋作を中心に、変革期の青春群像を鮮やかに描き出す長篇小説全四冊。
吉川英治文学賞受賞作。

こちらの本からも気になった箇所を抜粋してみましょう。
「年齢の上の者に対しては礼儀をまもれ、後輩には親切に導け、他人には寛容であれ、意見があれば遠慮なく言え」松陰の言葉p41。
「実行のなかにのみ学問がある。行動しなければ学問ではない」王陽明の伝習録からp87。
「人間の運命をきめるものは、往々にしてその能力であるよりも性格によるものらしいが」著者の記載p95。
「鉄砲の操法や部隊の進退法に達しない者は戦術を語るな。つまり実技のやれないものは理論をいうな。その逆も真である」著者の記述p180。
「孔明も天祥も戦場で三軍を指揮した実務家であり、市井の詩文の徒ではない。かれらが後世の心をふるわせつづけるのはその詩文よりも、その作品に裏打ちされた劇的行動によるものなのである」著者の記述p222。
このように、こちらの本にも勉強となる記載が多数ありました。

さらに、「もともと日本人の倫理は忠孝をやかましくいうが、横の関係である友情や友誼についてはさほどに言わない。この倫理が日本人のなかに鮮明になってきたのは、むしろ明治後、西洋からそういう思想が輸入されたからだといってもいい」著者の記載p139。だそうです。そうなんですね。

2018年8月 2日 (木)

花神---下巻

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前回に引き続き今回も司馬遼太郎氏の「花神---下巻」を選択しています。
本の帯には、以下のように紹介されています。

百姓が武士に勝った。幕長戦での長州軍の勝利は、維新史の転換点となり、幕府は急速に瓦解へとつきすすむ。この戦いではじめて軍事の異才を発揮した蔵六こと大村益次郎は、歴史の表舞台へと押し出され、討幕軍総司令官となって全土に“革命”の花粉をまきちらしてゆく。──幕末動乱の最後の時期に忽然と現れた益次郎の軍事的天分によって、明治維新は一挙に完成へと導かれる。

さて、こちらの本でも気になった個所を抜粋してみましょう。
「医者というものは師匠の緒方洪庵が医戒でやかましくいったように、人の病苦をすくうだけために存在し、自分のためには存在しない」p15。
「ひとびとの需要のために村田蔵六という男は存在している。(中略) 蔵六からそれをしたいと思ったことは一度もなく、ひとびとが蔵六の技能を必要とするままに蔵六は生きてきた」P16。
「桂小五郎にいたっては、江戸にいるころ、若手剣客としては随一の腕をもっていたが、京都で幕吏にさんざんつけねらわれてときも逃げてばかりいた」p77。
「私は政治と宗教の話はしない。そういう話題がいかに危険なものであるかを、子供のころから体験しつくしてきた」アイルランド人船長の言葉p180。
「明治10年代までの軍制もいわゆる鎮台制で、国内の治安維持に目的がむけられており、外征用の軍隊ではなかった」p232。
こちらの巻で、村田蔵六、大村益次郎の人生はあっけなく終了してしまいます。幕末のあの時期のみ、時代は彼を必要としたかのような人生の終焉です。
上記のように、こちらの本の中にも多数、参考となる記載がありました。需要に任せて生きること、桂小五郎のように逃げることの重要性、特に海外旅行中では政治、宗教の話は厳禁であること等です。でも、鎮台制が国内治安維持目的とは知りませんでした。

2018年7月29日 (日)

My favorite book series---水神 上巻

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今回は、こちらの本を選択しています。帚木蓬生氏の「水神---上巻」です。こちらの本は2016年に読書したもので、こんなに早期に再読書するのは当方としては珍しいことです。
実は、筑後川にある、大石、恵利、山田井堰と山田井堰近くにある3連水車をこの夏に見に行こうかと考えています。2017年夏は、例の九州北部豪雨のため旅はできませんでした。今年も、その爪痕が残存しているかとは思いますが、チョット、行ってみたいので再読書としています。本の帯には以下のように紹介されています。
目の前を悠然と流れる筑後川。だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。新田次郎文学賞受賞作。

さて、こちらの本でも気になった個所を抜粋してみましょう。

「得するほうは忘れて、損するところばかり気にする人間が必ずおる」農民の言葉p156。
「新しかこつばする時は、必ず反対があるもんですけん」農民の言葉p174。
「そもそも大事業を起こすのに、多少の波風が立たないほうがおかしいのだ」p175。
「足ることを知るものは富めり」p178。
「不言の言を聞くは努めて守るように心かけた」p178。
「くれぐれも他言はいかんです。噂だけが先歩きすると、芽が出んうちに踏みにじられるのが常ですけん」p188。
こちらの本にも感銘を受ける言葉が散在しています。まあ、再読なのであらすじは承知しています。安心しながら読書するととができます。

2018年7月19日 (木)

花神---中巻

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今回も、前回に引き続き司馬遼太郎氏の「花神 中巻」を選択しています。本の帯には以下のように解説されています。

長州──この極めてアクティブな藩に属したことが、蔵六自身の運命と日本史に重大な変化をもたらしてゆく。“攘夷”という大狂気を発して蛤御門ノ変に破れ、四カ国連合艦隊に破れて壊滅寸前の長州に、再び幕軍が迫っている。桂小五郎の推挙で軍務大臣に抜擢された蔵六は、百姓兵たちに新式銃をもたせて四方からおしよせる幕軍と対峙し、自らは石州口の戦いを指揮して撃滅する。

こちらの本でも気になった個所を抜粋してみましょう。
 
「軽口のものは、往々にして畳の上で死ねないのである」p238。

「桂小五郎は、(中略)、人間に対しても、その人間の一面や二面だけを見て、見捨てるというところはなかった。(ひとには、得手、不得手がある)とそれのみで片づけた」p296。

「軍事はまず、内部を鎮めねばらない」p405。
「江戸300年が、このような---むしろ勝利の醜より敗北の美に酔いたがる---武士像をつくった」p473。
「300年の武家社会は、人間の現象のいっさいを形式で仕立てあげるとういうことで、人間と社会の秩序を維持しようとした歴史であり、(中略)、いかに恥をより少なくして敗北の形式をとるかであった」p503。
昨年、話題となり再放送ともなったTVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を当方は見たことはありませんが、変に形式に拘ることなく生きていくことが肝要かと思います。現代の日本人の生活様式、思考パターンは江戸時代に確立したもののようですが、時には「逃げる」という方法も必要かもしれませんね。

2018年7月 5日 (木)

うっかり鉄道

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今回は、こちらの本を選択しています。能町みね子氏の「うっかり鉄道」です。こちらの本を新聞広告で約2ケ月前に発見し、読書してみようかと思いました。同氏を理解するためにも、前作となる「オカマだけどOLやってます」「トロピカル性転換ツアー」を読んだのでした。漸く、本来の目的となる本に到達しています。本の帯には以下のように紹介されています。


錆びた看板に初めて魅かれたのは、能町みね子が中1の時だった。そんな著者が全国ローカル線を計画性不十分にめぐるとどうなるか。「平成22年2月22日の死闘」「琺ホーロー瑯看板フェティシズム」「あぶない! 江ノ電」など、タイトルからして珍妙な乗り鉄イラストエッセイが出来上がるのです。本書を読めばあなたも鉄道旅に出たくなる……たぶん!

さて、こちらの本でも気になった箇所に関してチョット、記載してみましょう。
まずは第1章のJR鶴見線国道駅です。こちらの駅は旧東海道徒歩の旅で通過したことがあります。非常に不気味で昼間ではありましたが、内に入る勇気がありませんでした。
第3、4章の数字のゾロメの日にちなんだ旅と切符購入の章です。まあ、理解できないことはないけど、そこまでしなくってもというのが正直は気持ちです。
第5章の江ノ電に関しては、その危険性を初めて認識しました。著者の視点が異なることに感激です。
第8章のJR肥薩線に関しては、当方も観光列車に乗車したことがあります。嘉例川駅にも行ったことがあります。昔を思い出しました。

こんなことを記載するのは、当方の高校同級生に「鉄ちゃん」がいるからです。当方自体は鉄ちゃんではありません。本自体は楽しめました。

2018年6月28日 (木)

花神---上巻

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今回は、こちらの本を選択しています。司馬遼太郎氏の「花神---上巻」です。本の帯には以下のように紹介されています。

周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。

こちらは昭和52年(1977年)のNHK大河ドラマで、日曜日の夜、よく鑑賞していた記憶があります。その内容を覚えていたのですが読書する本がなくなったこと、この3月、大阪での会議の際、司馬遼太郎展のブースがあり、感銘を受けた格言があったこと等から、読書してみようかと思った次第です。
こちらの本でも気になった個所を抜粋してみましょう。
「私は元来の百姓医だ。百姓を診て世をおわるために医術に志した。殿さまを診ることをもって出世だとおもったことはない」(村田蔵六の言葉)p125。
「医師がこの世に存在している意義は、ひとすじに他人のためであり、自分自身のためではない」p394。
「医師というものはあまりに変人であってはいけない。世間に対し衆人の好意を得なければ、たとえ学術卓越し言語厳格なる医師であっても病者の心を得ることができず、従ってその徳をほどこすことができない」p395。
貴重な言葉は散在しています。
さて、幕末の本は比較的、多数、読書するのですが、この時代の「尊王攘夷」思想と時代の流れが良く理解できません。当方がこの時代に生きていれば、猪突猛進的な攘夷派となっていたかもしれません。周布政之助(攘夷派でありながら、伊藤博文、井上馨を英国留学させる)のような大局的な見方はできなかったことでしょう。

2018年6月24日 (日)

日の名残り

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今回はこちらの本を選択しています。妻が読書したもので、家にあったものを読書してみました。本の帯には以下のように紹介されています。

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。
さて、こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。
「品格の有無を決定するものは、みずからの職業的あり方を貫き、それに堪える能力だと言えるのではありますまいか」p61。
「いいかい、いつも後ろを振り向いていちゃいかんのだ。後ろばかり向いているから、気が滅入るんだよ。(長い中略)人生が思いどおりにいかないからと言って、後ろばかり向き、自分を責めてみても、それは詮無きことです」p350-351。
こちらの本にも感動的な言葉が散在していました。
さて、こちらの本、妻は「非常に感動した」と言っていましたが、当方は読書後、ほんわりとした安堵感は生じるのですが、解説も含めて上手く理解できませんでした。古い言葉ですが、滅私奉公して来た執事さんが過去の仕事にプライドを持つことは良いことだと思いますが。
どうやら理解できない原因は、ノーベル文学賞受賞作家の書く内容に当方が追い付いていけないことに依るものと考えます。

 

2018年6月21日 (木)

トロピカル性転換ツアー

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今回は、こちらの本を選択しています。能町みね子氏の「トロピカル性転換ツアー」です。本の帯には以下のように紹介されています。


オカマだけどOLをやっていた人気エッセイスト・能町みね子が、南国タイで「女になっちゃった」篇! それも、旅行気分で気軽にタイで性転換♪の予定が、思いもかけない展開に……。タイ出発前から帰国後までの日々を、やたらとリアルでときにハード、そしてトロピカル感満載につづった性転換手術体験記。きわどい表記も伏せ字なし! 興味本位で気軽に読んで欲しい、脱力系イラストエッセイ。


こちらの本を読書してみて、当方が男性として普通に生きていることに感謝するようになりました。こちらの本を読書する人は、その殆どが興味本位で本を購入すると思います。当方も勿論、その類に分類されて当然なのです。しかし、genderという本来、あまり人間が認識することが少ないことに悩んでいる方が、この世の中に存在し、非常に大変な思いをされていることを事実として知りました。


著者本人が興味本位で読まれることに寛容であり、また、性転換手術という重大な手術に際して、気軽に明るく記述されていることに読者はexcuseを得ることができます。自分の生き方を少々、考えることができるました。

2018年6月17日 (日)

ヒトラーの防具---下巻

Photo 前回に引き続き帚木蓬生氏の「ヒトラーの防具下巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。
父の国であるドイツの現実に、次第に幻滅を覚えてゆく香田。ついに成 立した日独伊三国軍事同盟も、彼の思い描いた祖国の進路ではなかった。迫害に怯えるユダヤ人女性・ヒルデとの生活にささやかな幸福を見いだしたのも束の間、居合術をヒトラーの前で披露する機会を与えられたことをきっかけに、香田の運命は大きく狂いはじめた……。清冽なヒューマニズムで貫かれた大作ロマン。

読書直後の実感としては、やはり戦争を題材とした本は虚しさ、悲しさを感じてしまいます。こちらの本でも気になった個所を抜粋してみましょう。
「時代が困難であればあるほど、普通の人間の行為が輝いて見える」p240。
「視野が狭くなったとき、悪い面が強調されるのではないでしょうか。視野という言葉が適切でなければ、あるいは寛容、度量と言い換えてもいいかもしれません」p268。
「力は理性を曇らせます。言いかえると、真理は弱者の側に宿るのです」p269。
「軍人は、戦争をしないために存在するんだよ」p449。
こちらの本にも多数の魅力的な言葉が散在していました。内容は、少々、重苦しさを感じてしまいます。次は、軽いもので行こう。

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