書籍・雑誌

2018年6月17日 (日)

ヒトラーの防具---下巻

Photo 前回に引き続き帚木蓬生氏の「ヒトラーの防具下巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。
父の国であるドイツの現実に、次第に幻滅を覚えてゆく香田。ついに成 立した日独伊三国軍事同盟も、彼の思い描いた祖国の進路ではなかった。迫害に怯えるユダヤ人女性・ヒルデとの生活にささやかな幸福を見いだしたのも束の間、居合術をヒトラーの前で披露する機会を与えられたことをきっかけに、香田の運命は大きく狂いはじめた……。清冽なヒューマニズムで貫かれた大作ロマン。

読書直後の実感としては、やはり戦争を題材とした本は虚しさ、悲しさを感じてしまいます。こちらの本でも気になった個所を抜粋してみましょう。
「時代が困難であればあるほど、普通の人間の行為が輝いて見える」p240。
「視野が狭くなったとき、悪い面が強調されるのではないでしょうか。視野という言葉が適切でなければ、あるいは寛容、度量と言い換えてもいいかもしれません」p268。
「力は理性を曇らせます。言いかえると、真理は弱者の側に宿るのです」p269。
「軍人は、戦争をしないために存在するんだよ」p449。
こちらの本にも多数の魅力的な言葉が散在していました。内容は、少々、重苦しさを感じてしまいます。次は、軽いもので行こう。

2018年6月14日 (木)

ヒトラーの防具---上巻

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今回はこちらの本を選択しています。帚木蓬生氏の「ヒトラーの防具上巻」です。同氏の「悲素」を読書した後、能町みね子氏の「オカマですけどOLやっています」を読んだことは先のブログで記載しました。能町氏の本が軽いタッチのものでしたので、再度、少々、重そうな本を選択したのです。本の帯には以下のように紹介されています。

東西の壁が崩壊したベルリンで、日本の剣道の防具が発見された。「贈ヒトラー閣下」と日本語で書かれ、日本からナチスドイツに贈られたものだという。この意外な贈り物は、国家と戦争に翻弄されたひとりの男の数奇な人生を物語っていた―。1938年、ベルリン駐在武官補佐官となった日独混血の青年、香田光彦がドイツで見たものとは、いったい何だったのか。

さて、こちらの本でも気になった箇所を抜粋していみましょう。
「忠告ができる国こそ本当の友人なのです」ドイル人女性の言葉(p183)。
「戦うには相手の力を見極めることが第一に要求されます。銃をちらつかせて相手を脅せばもう外交官とはいえません。こちらの武器はあくまでも、相手の力と立場をどれだけ理解しているかという知力なのです」東郷大使の言葉(p203)。
「何度やり直してもうまくいかないときがありますね。そういときは別の箇所を練習したりして、気分を変えてからやっているようです」ドイツ人女性の言葉(p223)。
「真実が何処にあるか分からなくなったときは、弱者の位置に立って物を考えてみると、道筋が見えてきます」東郷大使の手紙より(p242)。

こちらの本にも人生、生きていくうえで貴重な言葉が散りばめてあることに気が付きます。しかし、「オカマですけどOLやっています」読書の後に、少々、重い内容をと思って、こちらの本を選択しましたが、内容が非常に重く少々、暗い気持ちになってしまいます。下巻を読書した後には、軽い読み物を選択することでしょう。

2018年6月10日 (日)

オカマだけどOLやってます。完全版

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今回は、こちらの本を選択しています。能町みね子氏の「オカマだけどOLやってます。完全版」です。本来、読書したかったのは新聞広告で見た同氏の「うっかり鉄道旅」だったのですが、同氏について調べているうち処女?作となるべく、こちらの本の存在を知りました。性同一性障害については全く知らなかったので、それを理解する目的で、こちらの本から同氏の本を読書することにしました。そうすれば、鉄道旅の本の理解も深まるものと考えました。本の帯には以下のように紹介されています。
 
能町みね子、2×歳。都内の某会社でOLとして働き始めて3年、実はまだ「チン子」がついています。会社の人は誰もそのことを知りません……。
OLとして入社した職場では、「顔のわりに声低いよね」と最初に言われ、男性社員が重い荷物を持ってくれることに驚く。 女子の呪文をつかえるかに心を砕き、同僚女子と群れるか群れないか迷い、合コンで撃沈!? かわいい女の子に恋したこともある(! )オトコ時代について、恋愛のお話、ネクタイ着用の男性社員として就職した経験、誰にも秘密のドキドキOL生活など、大人気脱力系イラストエッセイ本『オカマだけどOLやってます。』シリーズを再構成し、一冊にまとめた完全版。
自らを「性同一障害」ではなく「オカマ」と呼ぶ著者の、とにかく面白く、ときに切ないエッセイです。

こちらの本を読書して感じたことは、やはり、性同一性障害という病気は大変な病気だと実感しました。本人のみではなく周囲の人にも影響があるのです。実際、著者には弟さんが存在するのですが、著者が長男から女子に変わると、弟さんは次男から長男へ転換されてしまうのです。親御さんの御心配も只ならぬことであったことでしょう。
 
 さて、日本語ではgender identity disorder(GID)を「性同一性障害」と和訳していますが、何のこっちゃ、初めて聞くと理解困難だと思います。「identity」は心理的な意味として「自己認識」という和訳もあるのです。GIDは心の病気の側面が強いはずですから、「性認識性障害」と和訳するのがbetterと思うのですが如何でしょうか?
 

2018年6月 7日 (木)

My favorite book series---パイロット イン コマンド

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今回はこちらの本を選択しています。少々、内容の濃い和歌山カレー事件を扱った本を読んだ後なので、カテゴリーの異なるものを選択しました。本来は異なる本を読書予定だったのですが、未だ到着していないので書庫にあった本を選択している次第です。内田幹樹氏の処女作「パイロット・イン・コマンド」です。本の帯には以下のように紹介されています。

ロンドン発202便は、飛行機好きの小学生、護送される国際犯罪者など、様々な人々を日本へと運んでいた。だが成田が近づいたその時、突如、第二エンジンが炎上!機長ふたりも倒れてしまう。乗員乗客の命は、副操縦士の江波が預かることに。経験不足のパイロットは、傷ついたジャンボを無事着陸させられるのか?航空サスペンスとミステリを見事に融合させた、内田幹樹の処女作。

所謂、航空ミステリーと分類される内容です。当方のような飛行機好きにはコックピット、キャビン内での事情を垣間見ることができ楽しむことができます。こちらの本を読書していると、飛行機を飛ばすには複数のパイロットが必要となるような印象があります。大型旅客機ともなると単独で飛行することは困難なのでしょうか?読書後、実感したのはやはり同氏の本の中では「査察機長」が当方は最も好きです。査察機長では何も事件も発生しないのですが。

2018年6月 3日 (日)

悲素---下巻

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前回に引き続き、今回も帚木蓬生氏の「悲素---下巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。
カレー事件の背後にあった複数の犯罪、鬼畜夫婦が詐取した高額の死亡保険金。だが、真由美は逮捕後も、完全黙秘のまま。難航する物証固め、捜査を支える専門医たちの知見。緊迫の公判が始まった――。事件の全容は解明されたのか。なぜカレー鍋に砒素を入れたのか? 毒の魔力に取り憑かれた女の底知れぬ暗部とは。現役医師の著者が、小説でしか描けない真相に迫る医学捜査小説の金字塔。

こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。
「症状が多少残っていても、通常の生活を全うするのは、病気への大切な対処法だった。多少の病変があるからといって、生活全体を病人という色で塗りつぶしてしますのは、本末転倒だ。病人であるのは病院を受診したときだけでいい」p45。

「病気になっても病人にはなるな」という先人の言葉は患者サイドが理解、実行すべき言葉であると思います。これに対して、「病気のみを見るのではなく病人全体を診ろ」という言葉は、患者の置かれている社会的背景まで理解して診療に充たるべきという医療サイド側への警鐘として存在する言葉と当方は理解しています。

今回の「悲素」は非常に良くできた作品です。上下巻、各巻とも約3日で読了してしまいます。妻が現在、上巻を読書していますが、乗車時間を失念する程、本へ集中できたようです。

当方が少なくとの直近の10年間に読書した本の中で最高水準の本だと思います。帚木蓬生氏に絶賛の言葉を贈ると共に、その作品を完成させたことに敬意を表します。皆さんに読書することを強く、お勧めします。

2018年5月13日 (日)

悲素---上巻

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今回は、こちらの本を選択しています。帚木蓬生氏の「悲素」です。本の帯には以下のように紹介されています。
一九九八年、和歌山市内の夏祭りでカレーを食べた住民六十名以上が中毒症状を呈し、四名が死亡した。県警から、毒物中毒の第一人者である沢井直尚九州大学医学部教授のもとに、協力要請が入る。現地入りした沢井は、事件の深刻さを前に誓う─本物の医学の力で犯罪をあぶりだすと。被害者たちの診察と診療録の解析の果てに浮上する、小林真由美の保険金詐取疑惑と過去の事件、戦慄の闇。

先日、本屋さんを散策している時に偶然、こちらの本を発見しました。帚木蓬生氏の本は今までにも読書したことがあり、「水神」がお好みの小説となっていたのでした。そこで、こちらの本を購入しました。我々の年代の人間では経験したことがある和歌山カレー事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件に関しての記載があります。その記載が非常に詳細で正確なのです。上巻は3日程で一気に読書してしまいました。それどほ、良く出来ています。

2018年4月29日 (日)

天才

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今回はこちらの本を選択しています。石原慎太郎氏の「天才」(文庫本)です。本の帯には以下のように紹介されています。
高等小学校卒ながら類まれな金銭感覚と人心掌握術を武器に年若くして政界の要職を歴任。ついには日本列島改造論を引っ提げて総理大臣にまで伸し上がった田中角栄。「今太閤」「庶民宰相」と称され、国民の絶大な支持を得た男の知られざる素顔とは? 田中の金権政治を批判する急先鋒であった著者が、万感の思いを込めて描く希代の政治家の生涯。
単行本出版時から興味があったのですが、今回、書店で文庫本として販売されているのを見て購入しました。本のカバーも衝撃的で印象深いものです。
内容は田中角栄氏に関するもので、一人称で著述されています。ロッキード事件に関しては司法取引があったような記載がありますが、一般庶民には知る由もありませんね。現在の新幹線整備、地方空港充実等、田中角栄氏が日本列島改造論で論じてきたことが現実になったと著者はTVで発言していたのを観た記憶があります。まあ、田中角栄氏は金権的側面があるようですが、偉大な政治家だったのでしょう。

2018年4月22日 (日)

My favorite book series---白い航跡下巻

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今回もこちらの本を選択しています。吉村昭氏の「白い航跡下巻」です。本の帯には以下のように紹介されています。
海軍軍医総監となった高木兼寛は、脚気の原因説をめぐり、陸軍軍医部を代表する森林太郎(鴎外)と宿命的な対決をする。実証主義に徹するイギリス医学に則る「白米食説」と、学理を重視するドイツ医学を信奉する「細菌説」の対決であった。この対決は、日清・日露戦争を経て、両者の死後初めて結着した。
実証主義か学理重視かということですが、こと脚気に関しては実証主義のイギリス医学の勝利となったようです。12歳で今の東大医学部に入学し19歳で卒業した超エリートで森鴎外もこの件では挫折を経験したことでしょう。まあ、挫折を経験しない人間など、この世にはいないのです。

2018年4月15日 (日)

My favorite book series---白い航跡上巻

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今回は、こちらの本を選択しています。吉村昭氏の「白い航跡上巻」です。本の帯には以下のように紹介されています。
明治初年、海軍・陸軍軍人の病死の最大の原因は脚気であった。その予防法を確立し、東京慈恵会医科大学を創立した高木兼寛の不屈の信念と人類愛にみちた生涯を描く歴史ロマン――薩摩藩軍医として、戊辰戦争で見聞した西洋医学に兼寛は驚き、海軍に入ってからはイギリスに留学し、近代医学を修め、帰国する。
とある講演会で演者の先生が紹介したことで、こちらの本を読書しました。こちらの本は2002年5月の第6刷の本なので、その頃に1回目を読書したのでしょう。この本から、吉村昭氏の本を読むようになった記憶があります。その後、氏の長編の全てと短編も読書してきました。
主人公の高木兼寛先生は宮崎県の生んだ偉人ですが、彼に関する名所旧跡等はあまり宮崎県には残存していない印象があります。時間に余裕のある時にでも穆園広場でも訪ねてみようかと思っています。
 

2018年4月12日 (木)

My favorite book series---点と線

Photo 今回はこちらの本を選択しています。松本清張氏の代表作である「点と線」です。当方の書庫には絶対あるはずなのですが、見当たらず新規に文庫本を購入しました。本の帯には以下のように紹介されています。

九州博多付近の海岸で発生した、一見完璧に近い動機づけを持つ心中事件、その裏にひそむ恐るべき奸計! 汚職事件にからんだ複雑な背景と、殺害時刻に容疑者は北海道にいたという鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣……。列車時刻表を駆使したリアリスティックな状況設定で推理小説界に“社会派"の新風を吹きこみ、空前の推理小説ブームを呼んだ秀作。

以前、こちらの本は読書したことがあるはずなのですが、全く内容は朧気にしか記憶に残っていません。ということで幸か不幸か、楽しく読書できるのです。

解説にもあるように、心中する二人が東京駅の15番線ホームを特定の4分間に歩くことの必然性に関しては著者の説明がなく、唯一の瑕疵あるようです。それでも「ゼロの焦点」と比較すると、「点と線」の方が秀逸と考えます。

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