書籍・雑誌

2019年5月 5日 (日)

翔ぶが如く---第10巻

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前回に引き続き、今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第10巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。
薩軍は各地を転戦の末、鹿児島へ帰った。城山に篭る薩兵は三百余人。包囲する七万の政府軍は九月二十四日早朝、総攻撃を開始する。西郷隆盛に続き、桐野利秋、村田新八、別府晋介ら薩軍幹部はそれぞれの生を閉じた。反乱士族を鎮圧した大久保利通もまた翌年、凶刃に斃れ、激動の時代は終熄したのだった。
こちらの本でも気になって付箋を貼付した箇所を抜粋してみましょう。
維新後、西郷によってこの渾身の兇器(桐野利秋)が陸軍少将になり、日本の軍事権の一部を掌握した。兇器は、栄誉と権限を得て自立したために兇器自身の思想と判断で動くようになり、ついには飼い主であった西郷を自分の思惑の中にひきずりこんでしまうという結果をもたらした。記述、p278。
西南戦争は、村田新八でさえあきらかに指摘したように、大久保と西郷の私闘にすぎない。記述、p350。
ただ、倒幕後の西郷は、みずから選んで形骸になってしまった。あとがき、p362。

西南戦争は、ボッケモンを好んだ西郷がただのテロリストであった桐野を陸軍少将に就けたことから発生したようです。本来、桐野には軍人としての能力がなかったようです。征韓論敗北後、鹿児島に戻った西郷が、狩猟中に転落し、木の株に頭部を強く打撲したことも影響があるかもしれません。こちらの翔ぶが如くの西南戦争発生後、西郷は全くといっていいほど、登場しません。本当にただのお飾りとなってしまっていたようです。なんとなく、侘しい結末です。

 

 

 

2019年4月28日 (日)

翔ぶが如く---第9巻

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前回に引き続き今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第9巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。
熊本をめざして進軍する政府軍を薩軍は田原坂で迎えた。ここで十数日間の激しい攻防戦が続くのである。薩軍は強かった。すさまじい士気に圧倒される政府軍は惨敗を続けた。しかし陸続と大軍を繰り出す政府軍に対し、篠原国幹以下多数の兵を失った薩軍は、銃弾の不足にも悩まされる。薩軍はついに田原坂から後退した…。
こちらの本で最も感銘を受けた箇所を抜粋してみましょう。
「降伏したからには、官兵として働きたい」と、かれら(薩軍)が積極的に望んだからであり、(中略)、このことは日本古来の合戦の習慣であったであろう。降伏部隊は鉾を逆にして敵軍の一翼となるというものであり、駒を奪ればその駒を使うという日本将棋のルールに酷似している。(中略) 日露戦争のときも捕虜になった日本兵は日本軍の配置を簡単にロシア軍に教えた。(中略) この体質が、昭和以後、日本陸軍が、捕虜になることを極度にいやしめる教育をするもとになったといっていい。本文, p319。
こちらの本でも、「なるほどなあ」と感銘してしまう箇所がありました。綿々とした日本の習慣、価値観が歴史へ影響を与えているようです。

 

 

戦陣訓の「生きて虜囚の辱めをうけず」とは、上記のような事情があったからなのでしょう。将棋では確かに奪取した駒を使用しますよね。日本古来の習慣なのだと納得しました。

2019年4月14日 (日)

翔ぶが如く---第8巻

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前回に引き続き、今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第8巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。

 

 

明治十年二月十七日、薩軍は鹿児島を出発、熊本城めざして進軍する。西郷隆盛にとって妻子との永別の日であった。迎える熊本鎮台司令長官谷干城は篭城を決意、援軍到着を待った。戦闘は開始された。「熊本城など青竹一本でたたき割る」勢いの薩軍に、綿密な作戦など存在しなかった。圧倒的な士気で城を攻めたてた。

 

 

こちらでも、気になった箇所を抜粋してみましょう。

 

「官というのはすなわち盗賊であるということが、この当時天下一般の士族や農民の心象に、濃淡の差こそあれ、ひろがりつつあった印象であった」記述、p157。

 

「薩人というのは夜郎自大で他県人に対しておそろしく冷淡であり、ときに冷酷で、自分たちの薩摩集団の利益のためには平然と他県人をあざむいたいり売ったりする」記述、p158。

 

「議論倒れといわれる肥後人の幣に業をにやしたように」記述、p163。

 

「薩摩郷士は上に付き、土佐郷士は下に付く」記述、p335。

 

 

当時の明治政府は盗賊のように一般人には思われていたようです。このような記載は教科書には記載されないことでしょう。また、各地方の性格も上述のように記載されています。現在でも、上述のような気質なのでしょうか?

2019年4月 7日 (日)

翔ぶが如く---第7巻

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前回に引き続き今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く第7巻」を選択しています。
本の帯には、以下のように紹介されています。
熊本、萩における士族の蜂起をただちに鎮圧した政府は、鹿児島への警戒を怠らなかった。殊に大警視川路利良の鹿児島私学校に対する牽制はすさまじい。川路に命を受けた密偵が西郷の暗殺を図っている―風聞が私学校に伝わった。明治十年二月六日、私学校本局では対政府挙兵の決議がなされた。大久保利通の衝撃は大きかった…。
こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。
「薩摩人は木強者(ぼっけもん)をよろこぶ」記述、p68。
かつての薩摩藩は、(中略) 戦国期に「一向宗」といわれていた本願寺の宗旨(真宗)だけがかたく禁止されていたのである。(中略) 一向宗が、講という横の組織を組織として主従の縦の関係をくずすおそれれがあったことと、信徒が、君主よりも阿弥陀如来という唯一的存在を崇敬することに、不愉快を感じたためであろう。(中略) それでもなお、信仰は地下にもぐって持続された。それが「隠れ念仏」といわれた。記述、p99。

 

当家の自宅近くにも隠れ念仏堂跡がありますが、当方はずーっと「隠れ念仏」のことを「隠れキリシタン」と勘違いしていました。
本を読むと、色々と勉強になります。

2019年3月31日 (日)

翔ぶが如く---第6巻

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前回に引き続き今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第6巻」を選択しています。
本の帯には以下のように紹介されています。

台湾撤兵以後、全国的に慢性化している士族の反乱気分を、政府は抑えかねていた。鹿児島の私学校の潰滅を狙う政府は、その戦略として前原一誠を頭目とする長州人集団を潰そうとする。川路利良が放つ密偵は萩において前原を牽制した。しかし、士族の蜂起は熊本の方が早かった。明治九年、神風連ノ乱である。
さて、こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。

「前原の性格は、相手が自分に好意的であるかいなかで、敵味方を決めるということろがあった」記述、p215。

「長州人が秘密を保てないという共通の性格をもっていることは、幕末、高杉晋作が---歎いたものであったが」記述、p230。
「長州人は金を欲しがり、薩摩人は女をほしがる」勝海舟の言葉として、p335。
この巻は不平士族の思想的記述が多く、ちょっと、思想論に興味のない当方には読書に辛いのでした。


 

2019年3月24日 (日)

翔ぶが如く---第5巻

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前回に引き続き、今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第5巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。
征台の気運が高まる明治七年、大久保利通は政府内の反対を押し切り清国へ渡る。実権を握る李鴻章を故意に無視して北京へ入った大久保は、五十日に及ぶ滞在の末、ついに平和的解決の糸口をつかむ。一方西郷従道率いる三千人の征台部隊は清との戦闘開始を待ち望んでいた。大久保の処置は兵士達の失望と不満を生む。
 
こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。

「木戸孝允はつねに、武権をもつ者が政治に参加すれば全体が必ず武権の意思に引きずられる、といい---(以後、略)」記述、p35。


「かつて西郷隆盛は、大隈を「詐欺」とよんだ」記述、p45。
こちらの本の前半では、征台後の清国との外交交渉に大久保利通が前交渉もなく、殆ど単独で関わったことが記載され、後半では中江兆民がルソーの民約論を翻訳する記述があります。前交渉なく外交交渉した大久保の大胆さに今となっては驚きを感じ、また、学生時代の歴史で習った民約論が明治自由民権運動に関わっていたことを知りました。

短い期間でありましたが、早稲田大学に通学していた当方にとっては西郷隆盛の言葉は耳に痛いです。
 

2019年3月10日 (日)

翔ぶが如く---第4巻

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前回に引き続き、今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第4巻」を選択しています。本の帯には、以下のように紹介されています。

西郷に続いて官を辞した、もとの司法卿・江藤新平が、明治七年、突如佐賀で叛旗をひるがえした。この乱に素早く対処した大久保は首謀者の江藤を梟首に処すという実に苛酷な措置で決着をつける。これは、政府に背をむけて、隠然たる勢力を養い、独立国の様相を呈し始めている薩摩への、警告、あるいは挑戦であったであろうか。

こちらの本でも付箋を付けた箇所を抜粋してみます。
「西郷と大久保のやり方は待つということについて徹底していた」p29、記述。
「わしは、西郷と大久保にだまされた。わしは幕府を倒すつもりではなかった」p39、島津久光の言葉。
「私学校というのは学校を称しつつも、実質的には鹿児島軍団というべきものであった」p96, 記述。
こちらの本の後半には、征韓論ならぬ征台(湾)論の記載があります。歴史の授業では、征韓論の文字が登場したことは記憶に残っていますが、征台論については今回、初めてその事実を知りました。
つまらぬ教科書の歴史の本を読むより、こちらの本を読書する方が余程、明治史の勉強になりす。

2019年2月10日 (日)

翔ぶが如く---第3巻

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前回に引き続き、今回も司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第3巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。

―西郷と大久保の議論は、感情に馳せてややもすれば道理の外に出で、一座、呆然として喙を容るるに由なき光景であった―。明治六年十月の廟議は、征韓論をめぐって激しく火花を散らした。そして…西郷は敗れた。故国へ帰る彼を慕い、薩摩系の士官達は陸続として東京を去ってゆく―内戦への不安は、現実となった。

こちらの本でも付箋を付けた箇所を抜粋してみましょう。

「待つのです。今は熱っぽくなりすぎている。物事が熱っぽくなってしまっているときはどういう冷静な意見も通らぬものです」岩倉具視の言葉,p61。

「元来、戦国以来の薩摩人共通の心がけは弱敵に対してあくまでも心優しく、強敵に対してはあくまでも勇猛であるということであり」記述、P103。

「己を愛することは善からぬことの第一也」西郷の言葉、p157。

「陽気な人格というものは欠点ですら愛嬌になり、失敗でさえ気の毒になるという効用をもっているが」記述、p280。

「大藩のうち、戊辰戦争に参加して新政府を樹立させることに功のあった藩は、その城下の地名をもって県名にしたのである。(中略) これに対し、若松県(会津福島県)、仙台県、金沢県、米沢県、松江県といったよなものは短期間しか成立せず---」記述、p328。

現在の県名は、戊辰戦争と関連があったことを初めて知りました。読書しているとなかなか勉強になります。ハイ。

2019年1月24日 (木)

翔ぶが如く---第2巻

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今回も前回に引き続き司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く第2巻」を選択しています。本の帯には以下のように紹介されています。

西郷隆盛と大久保利通―ともに薩摩に生をうけ、維新の立役者となり、そして今や新政府の領袖である二人は、年来の友誼を捨て、征韓論をめぐり、鋭く対立した。西郷=征韓論派、大久保=反征韓論派の激突は、政府を崩壊させ、日本中を大混乱におとしいれた。事態の収拾を誤ることがあれば、この国は一気に滅ぶであろう…。
さて、こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。
「言語というものは、その人間から出て他の人間に語られる場合、語り手の中にある情景も論理とはよほど別なものとして聞き手にうけとられることがむしろ普通である」記述、p21。
「権力という座は、この地上で神以上の力を発揮するものであると同時に、いつでもそのままその人間を死刑台に化ってしまうものだということを、岩倉は知った上で、大久保にたのんでいた」記述, p261。
「公卿には、一般社会で通用している節義というものが容易に存在しない。公卿は古来強いほうにつくといわれ、そのさい人を裏切っても平然としているという例が無数にある」記述,p340。
学校教育で学習した「征韓論」に関して、これほど明治政府内で意見が激突していたことは知りませんでした。変に表面的な歴史の授業をするよりも、司馬遼太郎氏のこの本を高校3年間を掛けて読書する方が余程、勉強になると考えるのは当方だけでしょうか?

2019年1月13日 (日)

翔ぶが如く---第1巻

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今回はこちらの本を選択しています。司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く---第1巻」です。
本の帯には以下のように紹介されています。

明治維新とともに出発した新しい政府は、内外に深刻な問題を抱え絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発した。西郷隆盛が主唱した「征韓論」は、国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく。征韓論から、西南戦争の結末まで新生日本を根底からゆさぶった、激動の時代を描く長篇小説全十冊。

こちらの本を選択したのは、朝の武田鉄矢氏のラジオで取り上げていたこと、今年は何度か鹿児島へ旅行したこと等からです。
こちらの本でも気になった箇所を抜粋してみましょう。

「幕府は時勢のために倒れた。(中略) 悍馬は居る。西郷の尻の下にだけ居るのだ。西郷というこの巨人はもう役目が終わったはずの悍馬に、なおも騎りっぱなしに騎っているのだ。新政府に不満をもつ連中は、ことごとくその騎乗の西郷を仰いで第2の維新を願望するだろう」沼間守一の言葉、p53。
西南戦争発生以前に既に、沼間守一は上記のような発言をしています。時代の先を読む能力があったようです。

この本の第一巻を読み終えて感じることは、著者は西郷、大久保を記載したいのではなく、明治という時代を記載したかったようです。

こちらの本は、TVでドラマとなっていますが、ドラマと成らない著者の脱線内容の方が面白いと感じています。10巻まで続く本ですが、何だか、今後の展開が期待されます。

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